DNPの価値創造プロセス
社会課題や人々の期待を把握・分析し、「P&Iイノベーション」によってDNPならではの価値を開発・提供し、さらなる価値の創出に向けて財務基盤と非財務資本を強化して、新たな企業活動に再投資していく――。
この好循環を続けることによって、持続可能なより良い社会、より快適な人々の暮らしを実現していくことが DNPの価値創造プロセスです。
統合報告書には、「価値創造プロセス」を含むDNPの企業活動を紹介しています。
詳しくはこちらをご確認ください。
1. 社会課題や人々の期待
DNP自身が主体となって、社会や人々と直接向き合い、大きな潮流(メガトレンド)を把握・分析し、DNPの強み・資本を活かして、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値の創出につなげていきます。
DNPが事業機会と捉えるメガトレンド
「未来のあたりまえをつくる。」ためにDNPは6つのメガトレンドを事業機会と捉えています。
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- データ経済化
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解決する社会課題・提供する価値
- 取引の安全、社会の安全・安心
- 正確な与信審査
- サプライチェーン効率化
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- 国内の人口減少と世界の人口増
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解決する社会課題・提供する価値
- 人材の多様性拡大
- 食糧不足、食品ロス
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- 人類の長寿命化
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解決する社会課題・提供する価値
- 健康寿命の延伸
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- デジタルトランスフォーメーション
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解決する社会課題・提供する価値
- Society5.0
- 働き方や暮らしの変革へ
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- 都市や地域のスマート化
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解決する社会課題・提供する価値
- 都市や地域の機能・サービスを効率化
- 移動手段・機会の確保と環境の両立
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- 脱炭素社会の構築
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解決する社会課題・提供する価値
- 温室効果ガス排出量の削減
- 再生可能エネルギー使用の拡大
メガトレンドから成長領域を特定
メガトレンドをもとにDNPだからこそ対応可能な社会課題や人々の期待を明確にし、価値の創出によって事業を拡大していく「成長領域」を設定しています。事業の成長領域ごとにつくり出したい「未来」の姿を描き、その実現に向けて、「オールDNP」で新しい価値を創出していきます。
2. P&Iイノベーション
DNP独自の「P&I」(印刷と情報:Printing&Information)の強みを生かし、多くのパートナーとの連携を深めて、今までにない革新的な価値を創造する「P&Iイノベーション」を推進しています。
成長領域を中心とした価値創出
成長領域から収益性と市場成長性の軸で、DNPの事業が生み出す価値を見直し、各部門に今後注力して伸ばしていくビジネスを注力事業として設定しています。
新製品・新サービスの開発、既存事業の増強によって、人々に欠かせない「未来のあたりまえ」となる価値を創出していきます。
成長領域における注力事業
3. 財務基盤の強化
DNPは長期にわたって価値を生み出し続ける強固な経営基盤を築くために、「ROE改善」と「株主還元」を柱とした資本政策を策定し、実行しています。長期を見据えた事業活動を展開して企業価値を高めていくとともに、その成果を株主の皆様をはじめとした全てのステークホルダーに還元していきます。
企業価値最大化に向けた資本政策
「P&Iイノベーション」による価値創造に加え、「資産効率の向上」と「財務資本の強化」においても事業部門別ROAによる目標管理、政策保有株式の縮減、遊休資産等の圧縮のほか、各種資本政策によって財務基盤を強化を行っています。また、株主に対しては安定配当を基本とし、EPSを向上を図っています。
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「P&Iイノベーション」
による価値創造- 成長領域を中心とした価値の創出
(4つの成長領域における注力事業への重点投資) - 各国・地域への最適な価値の提供
- あらゆる構造改革による価値の拡大
(収益性・市場成長性の低い事業の再構築、拠点再編)
- 成長領域を中心とした価値の創出
- 資産効率の向上
- 事業部門別ROAによる目標管理を実施
- 政策保有株式の縮減
- 遊休資産の圧縮による資産効率改善
- 財務資本の強化
- 自己資本に加え、他人資本の活用による成長投資資金の調達
- 内部留保による安定した財務基盤
企業価値の最大化
4. 非財務資本の強化
財務資本とともに、DNPならではの各種非財務資本の拡大・強化に努め、それぞれの資本の強みを掛け合わせる統合的な経営を推進し、さらなる価値創出に向けて資本を再投資していきます。
更なる価値創造へ向けた再投資
非財務資本では最も重要な人への投資を強化していきます。また、技術・研究開発や特許等の知的資本の拡大、事業活動と地球環境のさらなる共生に向けた環境関連の取り組みを強化し、価値創出の挑戦を続ける組織風土を醸成していきます。
注力事業:情報コミュニケーション部門
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、新しい働き方や生活様式に欠かせない顧客体験価値(CX)を提供
DNPは長年、企業や個人の重要情報を預かり、多様な事業を展開するなかで、印刷工程のデジタル化にも1970年代から取り組んできました。情報セキュリティや画像処理、メディア変換やデータ分析等の技術も独自に発展させています。近年は特にコミュニケーションの在り方が変化し、新しい働き方や生活様式が生まれるなかで、印刷プロセスで培った技術と営業・企画・製造等のノウハウ、パートナーの強みなどを掛け合わせて、DNPならではのDXを推進しています。
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BPO
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認証・セキュリティ
「本人認証サービス」 -
教育ICT
注力事業:生活・産業部門
コンバーティング技術を活かした機能性フィルムで「安全・安心・健康・快適・環境」の本質的な価値を提供
DNPは、コーティングやラミネート、製袋・成型など、独自の材料加工技術であるコンバーティング技術を強みとし、多彩な機能性フィルム製品を開発・提供しています。
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環境配慮包材
「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING®」 -
モビリティ関連製品
「リチウムイオン電池用バッテリーパウチ」 -
産業用高機能材
「太陽電池用部材」
注力事業:エレクトロニクス部門
クリーンコンバーティング技術等を活かした光学フィルムなど、リアルとデジタルを高度に融合するキーコンポーネンツを開発・提供
DNPはあらゆるものがインターネットにつながる社会において、独自の強みを活かし、リアルとバーチャルの接点となる各種ディスプレイ関連や電子デバイスの事業領域で、人々の暮らしの価値を高める多様な製品・サービスの開発に注力しています。こうした開発には、光学関連の技術に精密薄膜塗工や精密賦型等の技術を掛け合わせるクリーンコンバーティング技術などを活かしています。
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光学フィルム
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有機ELディスプレイ製造用部材
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5G関連
「ベイパーチャンバー(放熱用部材)」
- 主な取り組み
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- 「未来のあたりまえ」創出の原動力である全社員の強みの掛け合わせの推進
- 「人的資本ポリシー」に基づく「人への資本」の増強
- ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)の推進
- 新しい価値創出に向けた人材の育成
(DX人材・ICT人材・マイスター制度・主席専門職制度等) など
- 効果
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- 従業員数:36,542名(連結) (国内32,784名、海外3,758名)
- 社員のダイバーシティ&インクルージョン実感度:78%
- 男性育休取得率:82.4%
- 主な取り組み
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- 「未来のあたりまえ」となる価値を担保する知的財産戦略
- 他にはない「P&I」(印刷と情報)の強みの創出・応用・発展・掛け合わせ
- 事業成長戦略/知的財産戦略/技術・研究開発戦略の連動
- 技術の深耕/探索/活用の一環で、DXの潮流を活かしたAIデータ分析・クラウド環境の活用 など
- 効果
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- 国内保有権利数:特許権11,726件、意匠権1,374件、商標権1,288件
- 研究開発費:331億円(2021年度)→330億円(2022年度計画)
- 主な取り組み
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- 「未来のあたりまえ」の製品・サービスを製造・運用する有形資産の最適化
- 事業活動と地球環境の共生を具体化するための国内外の拠点の整備
- 自然災害その他のリスクに対して強靭な事業継続を可能にする拠点・体制づくり(BCM・BCP等)
- 安全・安心な情報流通等を可能にする高度なセキュリティ環境 など
- 効果
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- グローバルな製造拠点:国内57カ所、海外16カ所
- グローバルな営業拠点:国内34カ所、海外24カ所
- 設備投資額:506億円(2021年度)→950億円(2022年度計画)
- 主な取り組み
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- 「未来のあたりまえ」のバリューチェーン全体での環境負荷の低減
- (CSR調達や印刷•加工用紙調達のガイドライン等の適切な運用)
- 「DNPグループ環境ビジョン2050」「生物多様性宣言」等に基づく「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた具体策の推進
- 適切なトレーサビリティの確保、持続可能な原材料調達の推進 など
- 効果
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- 温室効果ガス排出量の削減: 2015年度比33.3%減
- 水の循環利用量:213,560千㎥、利用倍率29.8倍
- 「印刷・加工用紙調達ガイドライン」適合率100%目標
- 主な取り組み
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- 「未来のあたりまえ」創出のスピードアップと可能性拡大につながる多様なパートナーシップの構築・拡大
- 多様なあらゆるステークホルダーとの長年にわたる信頼関係の醸成
- DNPと各パートナーの強みの掛け合わせによるイノベーションの推進
- 多様なつながりで得る「声」を迅速かつ適切に価値創出に反映 など
- 効果
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- 数万社規模のビジネスパートナー(グローバル企業・地域に根差した企業・顧客としての生活者等)
- 国内外のサプライヤーなどバリューチェーン上のステークホルダー
- 各種教育・研究機関/学生
- スタートアップ、ベンチャー各社
- 地域・自治体・公共機関
- NPO・NGO・各種団体
- 株主・個人投資家・機関投資家・アナリスト
- メディア・SNS・報道機関 その他